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第19番 潮門山 普光寺(ふこうじ) -高野山真言宗-
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所在地:徳島県鳴門市瀬戸町北泊字北泊199 電話:088-688-0157
御本尊:千手観世音菩薩
御詠歌:そのひかリ あまねきかどに いずるひの
いかなるやみか はるけさくべき |
国道十一号線を明神で別れ、堂浦を通りすぎて、小鳴門海峡にそった道を北進すると、阿波の最北端北泊に着きます。かつては水軍の根拠地であリ、藩政時代には海の関所の代表的なものともいえる北泊番所のあったところで、阿波から他国へ、他国から何波への、出入りの船を監視し、主としてその積み荷を調べ、あわせて乗り組み員を調べた場所でした。
今では漁港として三百余の人家が密集しています。
寺は人家をくぐりぬけた石垣の上にあり、観音堂は寺の前を通りすぎて石段をのぼった高所にあります。くびすをめぐらして眼前の景を見れば、播磨灘と小鳴門海峡が一望に見渡せる絶景の地で、はるばると詣ってきてよかったなーと佇ずむ霊場です。
観音菩薩の縁起をたずねると、その昔、備前国主池田新太郎儒教を重んじ仏教を尊ばず、領内の仏像を焼き、あるいは海に流しました。その時、備前国墨江より流されて小鳴門に着したのがこの観音菩薩で、世にこれを「小鳴門の観音」と称しています。観音観堂は、元禄十三年(一七〇〇)八月十六日北泊浦在住の水盤軍郡市岡田吉右衛門が母の菩提のために建立したもので、その時の住職は宥長上人でした。以来この観世音は、小鳴門水道の航行船舶の守本尊として篤く信仰されてきました。
なお、当寺には唐人筆の釈迦涅槃図があり、これ太閣秀吉が高麗出兵の際もち帰ったもので、寛永十年(一六四二)岡田吉右衛門が亡父宗慶禅定門菩提のために奉納したことが裏書されており、鳴門市指定文化財となっています。
かつては陸の孤島であった北泊も、最近急速に開発がすすみ、小鳴門を見下す山の上にはゴルフ場ができ、昭和四十八年八月には鳴門公園から櫛木に至る門スカイラインが開通し、昭和五十二年九月には成田山別院光輪寺が落成しました。時間にゆとりのある参拝ならば、十番昌住寺から鳴門公園に出て、スカイラインを通り、光輸寺に参拝し、ゴルフ場に行く道を下って、普光寺へお詣リすれば、海と山のおりなす自然美を満喫することができるでしょう。
※くびすをめぐらす・・・体の向きを変えて、元の位置・場所へ戻ること
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