第7番 命壺山 東光寺(とうこうじ) -高野山真言宗-
  所在地:徳島県板野郡藍住町東中富字東傍示39 電話:088-692-5322
  御本尊:薬師如来
  札所観世音:聖観世音菩薩
  御詠歌:てるかたも かはらぬものと ひかりには
               いまもみのりの はなやひらかん

当寺は天和年間、宥意上人によ「て創建され、本堂正面に薬師如来、左に聖観世音菩薩をまつっています。

昔からこの寺には熱心な観音信者が多く、阿波西国発祥の地ともいえます。

今から二百七十年前の宝永年間に、普門軒円通居士と号する三木某という人がおられました。西国霊場巡拝も何度もなされ、厚く観世音菩薩を信仰されていました。

ある時、紀州西国第一番の霊場補陀洛山にこもり、一心に観世音菩薩を念じておられますと、熊野権現自ら身を現し「汝じ観世音菩薩を念するは、速く阿波国に帰り、三十三里の里程の中に三十三ヶ所霊場を定め巡拝せば、西国三十三ヶ所の巡礼の功徳勝りて劣ることなし。善哉守護すべし」との霊告を受けられたのであります。

直ちに帰国して、当寺住職栄義上人と共に阿波三十三ヶ所を定め、巡拝されたのが始まりであります。こうした熱心な信者によって護持された東光寺には、数多くの遺跡が残っております。新四国遙拝所も、阿波ではもっとも早く建立されたといわれています。

ここで一つ観音さまにちなんだ物語を紹介します。

むかし、ある村に大変信仰深いおばあさんが住んでいました。毎日観音さまに、お経をあげて暮しておりましたが、みよりもなく、さびしい毎日でした。

ある日、夢の中に観音さまが現われて、訪わて下さるとおっしゃいます。観音さまは、いろんなお姿で現われ給うというが、これは楽しみなことだ。

それからのおばあさんは、会う人見る人が、もしや観音さまではと思い、深切を盡さずにはいられませんでした。もしやあなたは観音さまではと、いくら尋ねても、皆頭をふるばかりです。

けれど、いつしか人々からもしたわれ、不思議にも今までの心さびしい日々を忘れてしまいました。観音さまは、おばあさんの心の中に、現われ給うたのであります。

※深切(しんせつ)…人情があついこと。好意をもって人のためにつくすこと




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